資料室
歴史の記述が、どんな文書に支えられているのか。その文書を、どこまで信じてよいのか。それを1件ずつ書きためています。
ここに史料そのものは置いていません
置いてあるのは、「この史料をどこまで信じてよいか」の台帳です。既存の翻刻も、単独の現代語訳も載せていません。理由があります。
誤った読み方と正しい読み方は、読者から見て同じ顔をしています。記事なら「〜と考えられています」と書けますが、訳文は「これがその文書の意味です」としか言えません。確度を示す場所が、訳文にはないのです。
そこで、この資料室は持ってこないで、指し示します。どこへ見に行けばよいかを案内し、見に行った先で何に気をつければよいかを書きます。
いちばん大事にしている欄
「原本はあるか」です。 原本が残っているのか、写本しかないのか。写本しかないなら、最古のものは何世紀か。書かれた時と、いま読めるものとの間に、何百年あるのか。ここが分かると、その史料から言えることの範囲が決まります。
この台帳は、記事や論文の典拠にしません。典拠は常に、元の史料と研究を直接あげます。台帳を典拠にすると、台帳の誤りが下流に伝わるからです。
分類
証拠は文字だけではありません。掘り出されたもの、測られた値、描かれた地図も証拠です。この6つを資料室の入口として置きます。まだ台帳が無い分類は、無いと書きます。
史料原文・現代語訳
その文書をどこまで信じてよいか。原本の有無、最古の写本、後世の加筆の疑い。
台帳14件
遺物・遺跡
掘り出されたもの、作られたもの。物には書いた人がいません。出土の記録がどこまで残っているかが、そのまま信じてよい範囲になります。
台帳2件
地図・分布図
物と場所の広がり。いま平らに見える土地が、昔から平らだったとは限りません。
台帳1件
年表
時代の並び。区切りそのものが決着していないため、まだ作っていません。「縄文はいつ始まったのか」「弥生はいつ始まったのか」が、どちらも論点のままです。
まだ台帳がありません
参考文献
史料を読むための本。訳文と史料は別のものです。各記事が当たった論文と報告書は、記事の末尾にあります。
台帳2件
データセット
数えられた値と、その集めかた。「検索して出てこなかった」は「無かった」ではありません。
台帳2件
収録
- 日本書紀史書(勅撰) / 720年(養老4年)成立
- 『宋書』倭国伝中国の正史(外国伝) / 5世紀末(488年頃)成立
- 稲荷山古墳出土鉄剣銘金石文(出土文字資料) / 5世紀後半(銘文の「辛亥年」)
- 『漢書』地理志(倭人の記事)中国の正史(地理志) / 後漢初期の編纂(班固撰)
- 『後漢書』東夷伝(倭)中国の正史(外国伝) / 南朝宋の時代の編纂(范曄撰)
- 『三国志』魏書 東夷伝 倭人条(魏志倭人伝)中国の正史(外国伝) / 西晋の時代の編纂(陳寿撰)
- 金印「漢委奴国王」出土品(金石文・国宝) / 天明4年(1784年)発見
- 全国遺跡報告総覧発掘調査報告書のデータベース / 現在も更新中
- 明治期の低湿地データ(国土地理院)地図データ(旧地形の復元) / 明治13年〜44年の地図をもとに作成
- 中国正史の倭関係記事の訳注書訳注書(史料そのものではない) / 20世紀以降の刊行
- 『晋書』中国の正史(四夷伝を含む) / 7世紀(唐)成立
- 広開土王碑(好太王碑)金石文(石碑) / 414年建立
- 『三国史記』朝鮮の紀伝体史書(官撰) / 12世紀(1145年)成立
- 『隋書』中国の正史(東夷伝を含む) / 7世紀(唐)成立
- 『古事記』史書(撰進) / 712年(和銅5年)成立とされる
- 『続日本紀』史書(勅撰) / 797年(延暦16年)成立
- 木簡庫(奈良文化財研究所 木簡データベース)出土文字資料のデータベース / 現在も更新中
- 平城宮跡出土木簡出土文字資料(国宝) / 8世紀(奈良時代)
- 鈴木琢郎「摂関制成立史における『応天門の変』」研究論文(史料そのものではない) / 刊行年未確認(註に2015年刊の文献を引くため、2015年以降)※1
- 『兵範記』(平信範の日記)日記(同時代の記録) / 天承2年(1132年)〜元暦元年(1184年)の記事(京都大学の解説による)
- 『玉葉』(九条兼実の日記・一名『玉海』)日記(同時代の記録) / 長寛2年(1164年)〜正治2年(1200年)の記事(宮内庁書陵部の目録による)