資料室 / 発掘調査報告書のデータベース
全国遺跡報告総覧
現在も更新中 / 2026-07-30
★ここに史料そのものは置いていません。これは「この史料をどこまで信じてよいか」の台帳です。原文も現代語訳も載せず、どこで読めるかを案内します。この台帳自体を、記事や論文の典拠にはしません。
どんな史料か#
★これは史料ではありません。史料にたどり着くための道具です。
奈良文化財研究所が運営する、発掘調査報告書のデータベースです定説。 同研究所は、これを使って全国の発掘調査報告書の総目録を作っています。
収録の対象は、発掘調査報告書のほか、遺跡地図、測量調査報告、遺物調査報告など、 埋蔵文化財に関する資料です定説。
★なぜ資料室がこれを台帳に入れるか。
発掘調査報告書は、この国の歴史記述の土台にある一次資料です。 しかし、それは書店に並ぶものではなく、自治体や調査機関が個別に刊行する冊子です。 研究所のブログは、その総数がかつて「十数万〜二十万冊とも言われてきました」と書いています。
言われてきた、です。数えられていなかったのです。
そして研究所は、令和5年度以降、都道府県ごとに総目録を刊行する計画を進めており、 新潟県・大阪府・兵庫県・島根県・高知県が完成していると書いています定説※1。
★この媒体には「誰かが数えれば、今日にでも決まる」という空白が2つあります (論点「事件後、発掘調査は本当に減ったのか」「検証調査が8遺跡にとどまった理由」)。 その空白に、いま実際に手が伸びている場所が、ここです。
原本はあるか#
★原本にあたるのは、1冊ずつの報告書のほうです。
このデータベースは、報告書を集めて見つけられるようにしたものであって、 報告書そのものではありません。
そして、ここに載っていないことは「無い」を意味しません。
研究所自身が、「データ登録時の掲載有無の設定が、必ずしも総目録の対象とならないこともありうる」 という趣旨の注意を書いています定説。
**★検索して出てこなかったとき、それは「調査がなかった」ではなく 「このデータベースからは見えない」かもしれない、ということです。** この2つを混ぜると、「史料が残っていない=存在しなかった」と同じ誤りになります。
本台帳は、現在の収録件数を確認できていません※2。
後世の手#
1. 報告書には、書いた人の解釈が入っている。
発掘調査報告書は、出土した物の記録であると同時に、調査した人の判断の記録でもあります。 「住居跡」「祭祀遺構」といった呼び名は、**掘り出された物そのものではなく、 掘り出した人がそう読んだ結果**です※3。
★この媒体で何度も出てきた形です。 文化庁が「日本最古の確実な建物跡」と書き、同じ解説が「作業場的建物と推定することもできる」 とも書く——あの構造は、報告書の段階から始まっています。
2. 集計は、集計の基準に依存する。
都道府県ごとの総目録が完成すれば冊数が数えられます。 しかし「1件」の数え方——1冊か、1遺跡か、1調査か——で答えは変わります※4。
どこで読めるか#
- 全国遺跡報告総覧(https://sitereports.nabunken.go.jp/)で報告書を検索・閲覧できます※5
- 同じ枠組みのなかに、文化財データリポジトリ、文化財オンラインライブラリーが
公開されていることが、国立国会図書館カレントアウェアネスに記録されています※5
- 奈良文化財研究所のブログ(https://www.nabunken.go.jp/nabunkenblog/)に、
総目録の進め方についての説明があります
★使うときは、検索語だけでなく、収録範囲を先に確かめてください。
典拠にするときの注意#
★この台帳自体は、記事や論文の典拠にできません。 実際に読んだ報告書を直接あげてください。
- 典拠は報告書であって、このデータベースではない。 検索結果ではなく、報告書の書名・刊行機関・年・頁をあげる
- 「検索して出てこなかった」を「無かった」と書かない。 収録範囲の外かもしれない
- 報告書の呼び名は、調査者の読みである。 「住居跡」と書いてあることと、住居であったことは別
- 件数を数えるときは、何を1件と数えたかを書く
この台帳の未確認事項#
| 番号 | 型 | 内容 | 確認できたら何が変わるか |
|---|---|---|---|
| ※1 | A(孫引き) | 都道府県別総目録の進捗(完成県)は、研究所のブログ記事の記述による。各総目録の現物に当たっていない | 「どこまで数えられたか」を年次まで書けるようになる |
| ※2 | C(欠測) | 現在の収録件数を確認できていない | 「言われてきた十数万〜二十万冊」と、実際に集まった数の差を書けるようになる |
| ※3 | D(範囲外) | 発掘調査報告書の記述の慣行(呼称の与え方)についての研究に到達できていない | 報告書の読み方をより具体的に案内できるようになる |
| ※4 | C(欠測) | 総目録における計数の単位(冊・調査・遺跡)を確認できていない | 論点「発掘調査は本当に減ったのか」に、このデータで答えられるかが決まる |
| ※5 | B(齟齬) | 各サービスの公開範囲・利用条件を個別に確認していない | 読者への案内が正確になる |